【本】伊坂幸太郎『終末のフール』-好みのテーマゆえに期待し過ぎてしまったかも



人類滅亡まであと三年。

タイムリミットが設定された世界を、地方都市のマンションに住まう人々の日常に視点から描いた短編集。


各作品の主人公たちが残された時間をどのように過ごすのかを、過去を振り返りながら語られるという展開で、総じてイイ話になっている。


ネビル・シュートの名作『渚にて』を読んでいるからか、終末感(あるいは終末観)がグっとこない。

各作品の登場人物がクロスオーバーするのだが、著者ならではの群像劇的な盛り上がりに欠けるように思える。


好みのテーマゆえに期待し過ぎてしまったかもしれませんな。


【伊坂幸太郎 記事一覧】
【本】伊坂幸太郎『死神の精度』-お見事です
【本】伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』-ピタゴラ装置的な事件の収束の仕方が素晴らしい
【本】伊坂幸太郎『ゴールデン・スランバー』-最後のページでぐっとくる
【本】伊坂幸太郎『魔王』-完結しているとは言い難く
【本】伊坂幸太郎『グラスホッパー』-映画向きなんだろう
【本】伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』-ありそうでなさそうな4っつ物語
【本】伊坂幸太郎『砂漠』-ジェラシーさえ感じてしまう
【本】伊坂幸太郎『ラッシュライフ』-豊潤な人生

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【本】リチャード・ニーリイ『愛する者に死を』-騙しの職人リチャード・ニーリイのデビュー作



傾きかけた出版社の社長に元に届いた一通の手紙。

そこには、これから起こす殺人の手記を出版をしないかという誘いが書かれていた...という騙しの職人リチャード・ニーリイのデビュー作。


当然ながら主人公は殺人事件に巻き込まれてしまうのだが、殺人犯と疑われ、どんどん深みにはまっていくという王道の展開になる。


倒錯趣味炸裂、お得意の異常心理サスペンスで、真犯人当てとしても良くできていている。

その後の作品のように、異常さが尖がっておらず、ラストにもうひと捻りが欲しいところ。

翻訳がちょっと読み難いのも残念かな。


【リチャード・ニーリィ作品 記事一覧】
【本】リチャード・ニーリイ『オイディプスの報酬』-どんでん返転ひしは半回ねりぐらい
【本】リチャード・ニーリイ『日本で別れた女』-お得意の捻り技を魅せてくれる
【本】リチャード・ニーリイ『亡き妻へのレクイエム』- ニーリィにしてはオーソドックス(?)なミステリ
【本】リチャード・ニーリィ『殺人症候群』-どんでん返しのあるサイコ・ミステリー

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【本】平山夢明『デブを捨てに』-痛くて、気色の悪い話だが、些かのほっこり感あり



借金の肩代わりとして、貸主の超絶肥満な娘を捨てに行くという「デブを捨てに」他、痛くて、気色の悪い作品集。


えせ大麻を売りさばく少年「いんちき小僧」、テレビの大家族ものを揶揄した「マミーボコボコ」、容貌に難ありな風俗嬢と元殺人犯の男「顔が不自由で素敵な売女」とタイトルのインパクトは絶大だ。


著者の作品は、ルックスや金銭的な問題を抱えた人々が登場し、どSな差別表現ギリギリのことろまできてしまうのだが、嫌悪だけに終わらないものがある。

無理やりではあるものの、ラストに些かなほっこり感があるからだろうか。

【平山夢明関連 記事一覧】
【本】平山夢明『暗くて静かでロックな娘』-毒をまき散らしていながらも独特の美しさがある
【本】平山夢明『ダイナー』-まるでマカロニウエスタン

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【本】藤沢周平『暗殺の年輪』-ハードな時代小説集



暗殺に失敗し死を賜った父。

長じてその死にまつわる汚名を知った息子は、同じ人物の暗殺を引き受ける、というタイトル作「暗殺の年輪」を含むハードな時代小説集。


老剣士の一瞬の再生「ただ一撃」は鬼気迫るという表現がぴったりの逸品。

その他、再会した幼馴染の男は手配中の下手人「黒い縄」、北斎の煩悶「溟い海」、下っ引きが情を通わせた女「囮」と読ませてくれる作品ばかりだ。


史実を扱ったもの以外の時代小説とは縁遠かったが、読書の幅を広げてみなければいけないと思うことしきり。

なお、著者はほのぼのな作風かと勝手に思っていたが、勘違いだったようだね。【直木賞】


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【本】木内昇『漂砂のうたう』-ミステリ的な味わいが良い



維新の混乱さめやらぬ世相を背景に、遊郭とその周辺に生きる人々を活写した作品。


武士の時代が終わり、人々は”自由”を手に入れるわけだが、新たな時代に与えられた"自由"に戸惑う様が痛々しくもある。

読み進めると、遊郭の客引きとして日々に埋没していく主人公他、身を削るような生き方しか選択せざるを得ない女たち等、くっきりとした輪郭が見えてくる。


綺麗な文章で描かれる当時の風俗、風習に興味をそそられる。

なんといっても、クライマックスの花魁道中からラストにむけてのミステリ的な味わいが良い。【直木賞】


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