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【本】D・M・ディヴァイン 『紙片は告発する』-誰が?何を?より登場人物たちの性格描写こそ見るべき



町役場のタイピスト ルースは、庁舎内で拾った一枚の紙片から何事かを感じ取り、その内容を警察へ持ち込むと喧伝していた。

程なくしてルースの絞殺死体が自宅から発見され、知り得た内容は闇の中へと消えてしまう。

町書記官ジェフリーと不倫関係にあった副書記官ジェニファーは、その内容に上司との関係の発覚、はたまた役場内での汚職の二つの可能性を感じとり、殺人犯とその動機を探り始めるのだった・・・


本作品は、地方都市の町役場を舞台に、ひとつの殺人事件が、閉鎖的な人間関係の中の裏の顔を炙り出していくというミステリである。

誰が?何故?はもちろん興味の中心ではあるものの、読み進めていくうちに登場人物たちの野心なり、性根なりが明らかになってくる過程が面白い。


冒頭、被害者となるルースの日常が頁を割いており、ストーリーの本筋とは外れたこの冗長ともとれるこの導入の仕方は、本作品の読ませ方が提示されているように思う。

著者の作品は初読になるが、登場人物の性格描写に力点を置いているようであり、なるほど、これだからこそ犯人と動機の納得性が出てくるのだ。


主人公ジェニファーは、ある時はキャリアウーマンとしての力強さを見せ、ある時は道ならぬ恋愛に心揺れるという、女流作家もかくやという設定である。

男性作家が、女性を主人公に据え情緒的な観点から物語を引っ張っていくのだから、力量があると言えるのだろう。町長選挙にまつわる男たちの権謀術数や、女性の登用を阻むガラスの天井が絡みあって、企業小説風の読み応えがある。

かの国の町議会などの馴染みのない制度は、読み進めていくうちになんとなく分かってくるが、とっつきにくかもしれない。

次に発生する殺人事件と第一の殺人との関連が不明瞭に見えて不満が残る。ただ、見るべきはそこではないのだろう。

『5番目のコード』、『兄の殺人者』等、評価が高い作品を読んでみたくはなるが、本作品から入るのは二作品を読了してからの方が良いかもしれない。

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